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◆賃上げ実施企業、引上げ額、引上げ率ともに昨年より増加
厚生労働省の令和5年「賃金引上げ等の実態に関する調査」結果によると、1人当たりの平均賃金を引き上げた、または引き上げる企業の割合は89.1%(前年同比3.4ポイント増)、1人当たりの平均賃金の引上げ額は9,437円(同3,903円増)となりました。平均賃金の引上げ率は3.2%(同1.3ポイント増)で、平成11年以降で最も高い数値となりました。
同調査は、常用労働者100人以上を雇用する会社組織の民営企業を対象とし、3,620社を抽出して1,901社から有効回答を得たものです。
産業別にみると、平均賃金を引き上げた、または引き上げる企業の割合は、「建設業」が100.0%で最も高く、次いで「製造業」が97.7%、「電気・ガス・熱供給・水道業」が92.9%となっています。
平均賃金の引上げ額は、「鉱業、採石業、砂利採取業」が18,507円(引上げ率5.2%)で最も高く、次いで「情報通信業」が15,402円(同4.5%)、建設業12,752円(同3.8%)となっています。
◆すべての企業が業績好調による賃金引上げとは限らない
賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素の割合をみると、「企業の業績」が36.0%で最も多く、次いで「労働力の確保・定着」が16.1%、「雇用の維持」が11.6%となっています。
本調査結果の通り、近年、賃金引上げを実施する企業が増加しています。その理由として、物価上昇への対応や従業員のモチベーション向上、人材確保・定着などが挙げられます。しかし、賃金引上げを実施するすべての企業が業績好調による引上げとは限らず、業績は改善しないが従業員の生活を守り、人材流出を防ぐことを狙いとして実施する企業も多いと考えられます。賃金引上げを実施する際には、政府が掲げている賃金引上げに向けた各種支援策等を参考にしながら慎重に検討する必要があるでしょう。
【厚生労働省「令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」】
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/23/dl/10.pdf
国家公務員の男性育休取得率が初の7割に
◆令和4年度の国家公務員の男性育休取得状況
人事院は、仕事と家庭の両立支援のための制度等の検討に資するため、令和4年度における一般職の国家公務員の育児休業等の取得実態について調査を実施し、一般職の男性職員の育児休業取得率が過去最高の72.5%(前年度比9.7ポイント増)だったことを公表しました。7割を超えたのは初で、4年前の平成30年度では21.6%だったことを踏まえると、ここ数年で急激な増加となっています。
◆取得期間は「2週間以上1月以下」が約5割で最多
同調査によれば、取得期間としては、男性では「2週間以上1月以下」が48.6%で最も多く、「1月超3月以下」(22.5%)、「3月超6月以下」(9.2%)が続いています。なお、女性では「9月超12月以下」が31.2%で最も多く、次いで「12月超24月以下」(30.3%)となっています。
◆くるみんの認定基準も厳しく
政府は2030年度までに、民間を含む男性育休の取得率を85%まで引き上げる目標を掲げています。「子育てサポート企業」として厚生労働大臣が認定をする「くるみん」についても、2024年以降に、男性育休取得率の基準が10%から30%に引き上げられる方針です。
育児・介護休業法改正後、男性育休の取得促進についても広く知られるところとなってきました。男性の育休取得の促進は、企業にとっても人材確保や両立支援の面から無視できない課題です。今後より一層の取組みを検討していきたいところです。
【人事院「仕事と家庭の両立支援関係制度の利用状況調査(令和4年度)の結果について」】
https://www.jinji.go.jp/kisya/2311/ikukyuR5syousai.pdf